スタッフ
監督:ルイ・マル
製作:イレーネ・ルリッシュ
脚本:ルイ・マル、ルイ・ド・ヴィルモラン
撮影:アンル・ドカエ
音楽:ヨハネス・ブラームス
キャスト
ジャンヌ / ジャンヌ・モロー
トゥルニエ / アラン・キュニー
ランベール / ジャン・マルク・ボリー
マギー / ジュディット・マーレ
フローレス / ホセ・ルイス・デ・ヴィラロンガ
クードレィ / ガストン・モドー
エレーヌ / ミシェル・ジラルドン
シャンタル / リシュエンヌ・アモン
マルチェロ / クロード・マンサール
日本公開: 1959年
製作国: フランス ヌーヴェル・セディション・ド・フィルム作品
配給: 映配
あらすじとコメント
ミステリアスなイメージが勝るフランスの女優ジャンヌ・モロー。その彼女のイメージにぴったりの役柄を演じた作品を扱う。一応、ジャンルは不倫ドラマに入るのだが。
フランス、ディジョン
ジャンヌ(ジャンヌ・モロー)は結婚して8年経つ人妻。亭主は「ブルゴーニュ新聞」の社主トゥルニエ(アラン・キュニー)だが、彼は仕事にかまけて充分な相手をしてくれないのが不満である。
そんなアンヌはパリ在住の友人宅に月に一度行くのが慰みなっていた。しかも、現地ではポロの名手の青年に惹かれていて、向こうも満更でもない様子。
程なく、亭主が妻の変化に気が付いて・・・
寂しい人妻の妄想と暴走を描くドラマ。
風光明媚な地方で優雅に暮らす30歳になる人妻。小さな娘もいて、屋敷にはメイドもいる。
しかし、自分よりも事業を優先する亭主に不満が募っている。
ありがちな話ではある。何不自由ないからこその孤独。自己中心的で『愛されたい願望』の強い人間。
月に一度のパリ訪問が唯一の慰みであり、自分が田舎者から洗練されたパリジャンに変身できるのが楽しくてしようがない。
となれば当然、次は自分に興味を示し近付いてくる色男が欲しくなる。
その相手がポロ選手で、自分の気持ちも傾く。これもありがちな設定と展開ではある。
ただし、興味深いのは冷たい視点で人間を突き放すような作品が得意のルイ・マル監督のシニカルでヤラしい視線が徐々に、それでも時折激しく押し寄せてくる。
亭主は新聞社主幹で、実に冷静に醒めた視点で相手を見ているタイプ。
冒頭でもパリ帰りの妻と嫌味な会話の応酬が繰り広げられる。その時点で30歳の女性のレベルと中年男の差が歴然と示される。
ある意味、確かにこの亭主では別な男に目移りというか、心まで持っていかれるだろうなと推察は出来るし、果たしてその通りの展開を遂げて行く。
妻側は自分の心移りを悟れないかと心配になり、パリの友人に依頼してポロ選手と一緒に屋敷に遊びに来るように仕向ける。
ワガママ女がまた、気分で取り繕おうとしていると痛々しくも感じる。しかし、そこから映画は急展開を見せる。
まったく想像だにしていなかった若い考古学者が登場してくるのである。
その存在が人妻の心に何をもたらし、何を扇動していくのか。
否や、突き動かされて行くのか。何故なら、その二枚目考古学者もパリからの来客同様に、亭主や娘と一緒に住む館に泊まることになるのだから。
何とも登場人物それぞれの個性と脆弱性と不感性が露わになっていき、着地地点を想像したくないと思わせる。
しかし、流石のフランス映画だと。人間の『業』というか『性』に素直に生きるのが良いのか、それでは社会人としての自覚が欠如し、誰も幸せにならないのではないかと推察する時点で、自分はフランス人ではなく日本人なのだと痛感させられた。


