スタッフ
監督:ジョセフ・ロージー
製作:ロベール&レイモン・アキム
脚本:ヒューゴ・バトラー、エヴァン・ジョーンズ
撮影:ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
音楽:ミシェル・ルグラン
キャスト
エヴァ / ジャンヌ・モロー
ジョーンズ / スタンリー・ベイカー
フランチェスカ / ヴィルナ・リージ
マコーミック / ジェームス・ヴィリアース
赤毛のロシア女性 / リザ・ガスト─ニ
ミケーレ / リッカルド・ガローネ
ピエリ / チェッコ・リッソーネ
アンナ・マリア / ノーナ・メディチ
エンツォ / エンツォ・フィエルモンテ
日本公開: 1963年
製作国: 仏、伊 パリフィルム、インテローパ作品
配給: ヘラルド
あらすじとコメント
フランスのジャンヌ・モロ─という女優。彼女自身が強烈な個性を感じさせる存在で、癖のある監督に起用されることが多かった印象が強い。今回も然りで、ある種の「悪女」モノ。
イタリア、ヴェネツィア
処女作が大ヒットし映画化までされて一躍時代の寵児となったジョーンズ(スタンリー・ベイカー)。彼はイギリスウェールズの炭鉱夫出身だが、この地で贅沢三昧の生活をしつつ、恋人であるフランチェスカ(ヴィルナ・リージ)とは結婚を考えてもいた。
ある雨の晩、パーティーから帰宅すると自室に見知らぬ男とエヴァ(ジャンヌ・モロ─)が勝手に入り込んでいた。どうやら突然の雨で男が女に嫌われたくないので勝手に入り込んで、風呂に入れてことに及ぼうとしていたのだ。
激怒するジョーンズだが彼女の不思議な魔力に魅入られて・・・
勝手に男たちが篭絡される女性の素行を描くドラマ。
本人に自覚があるのか、ないのか。独特なオーラを放ち、男好きするヒロイン。
今までも様々な男たちが彼女に入れあげ破滅してきたようだ。しかし、彼女は我関せずに自分の気分で行動していく。
そんな彼女にたちまち魅入られてしまう主人公。貧しい炭鉱夫から成り上がった新進の小説家で、故郷を捨て夢のヴェネツィアで放蕩三昧の生活。
だが、当然そこは出自が卑しく完全なる『成り上がり』男である。しかも更に複雑な背景があるようだ。
そんな彼にはフィアンセがおり、そちらを蔑ろにしてまでのめり込んでいく。
監督はアメリカ人ながらイギリス映画ばかりを撮って来たジョセフ・ロージー。主演のスタンリー・ベイカーとは何度も組んできたので、監督の意図する演技を披露しているのだが本作では些か分が悪いと感じた。
それはジャンヌ・モロ─の存在感ゆえである。しかも、ロージー監督自身がモローを持て余しているような印象さへ伝わってきた。
陰湿で暗い内容の作品を多く輩出してきた監督だけに、ヴェネツィアやローマ郊外の影の部分を上手く際立たせているのだが、どうにも監督とイタリアとの相性が良くなかったようである。
唯一、存在感が風景に見事に溶け込んでいるのは主人公のフィアンセ役ヴィルナ・リージ。彼女はイタリア人ゆえにだろうか。つまりフランス人のジャンヌ・モローとイギリスのスタンリー・ベイカーはあくまで「異邦人」なのである。
しかし、それこそが逆に妙に霧にむせぶ迷宮の古都ヴェネツィアに相応しい。
どこか虚しく、各々がそれを感じながら、その地に浸っていたい魔力がある水の都。
BGMで流れるビリー・ホリディの「柳よ泣いておくれ」をバックにジャンヌ・モローの長回しのワンカットのよる一人芝居は鳥肌モノなのだが、そんな彼女の存在感に頼り過ぎという印象もある。
ジョセフ・ロージー監督の観客を選ぶ目線ではなく、俺の作風を理解し付いてこられるかという自惚れをも感じてしまった。
確かに映画は監督のものかもしれぬ。それを踏まえた上で、トータルとして本作に馴染めるかは観客の趣味というか、嗜好性によるだろうと痛感させられる悪女モノ。


