ちょっとした「大人買い」。
昔のアメリカのとある連続ドラマ。子供の頃の初放映以後、何度か深夜枠等で放送局をまたぎ再放送された作品。
ビデオ・ソフトでは販売されず、深夜枠でタイマー予約をしたが野球中継の時間延長で前半のみで録画終了とか、妙に縁がないと感じていた作品でもある。
「タイムトンネル」。ところが1995年にレーザー・ディスクのセットとして高額発売されたときには驚いた。当然、高額過ぎて手が出せず。
それがDVDで発売されたが、それなりに高額。ならば中古盤に期待してなどと考えてても思い通りの価格には落ちない。結果、躊躇している間に廃盤。となると在庫放出とばかりに値段が暴落する作品も多いが、セットものはそもそも製造ロットが少ないからか逆に値上がり。
そこで、やはり縁がないと思おうとしたが、中古盤を検索し、諦めがつく値段だと思い込み、2つで対のボックスを購入した。
結果、一気に逆戻りし興奮。尤も、子供時代の印象が強いからか、当時の驚嘆の色眼鏡で好きを前提に鑑賞したからかもしれないが。
何せ、当時の吹替のままでクリア画面。その吹替陣もフィックス感に違和もあるが、今の、憧れはあくまでアニメ声優とは違う、昔の売れない舞台俳優たちの力演が微笑ましくもあり、とっくに物故した懐かしい名脇役の声が聴けたりして興奮した。
しかも日本では諸事情を考え、未放映の真珠湾前夜にハワイに転送される話と硫黄島直近の小島で日本兵二名と主人公コンビ二名が激闘を繰り広げる二本も収録されているし、個人的に未見の作品もあり、楽しく視聴した。
ただ当時は子供なので分りもしかなかったが、逆に驚いたことも。放射線パワーの強弱とか平気で出てくるので、関係者全員が相当量の被爆してるぞと思ったり、初放映時は意味不明だった世紀をまたぐ世界史の話が多く、これじゃ日本の子供には理解不可だと。
まして間違って現在に転送されてきた歴史上の人物も被爆し、再度戻った時代はどうなったのよと不安をも喚起された。
今回、当時謎だった時代背景や設定が理解できたのは、後に「ジャワの東」(1968)やスティーヴ・マックィーン主演の「パピヨン」(1973)など、映画で同じ設定の作品を鑑賞できたから。
しかも派手なスペクタクル場面や群衆シーンは本ドラマ以前の映画からの場面拝借が矢鱈と多く、今では版権クリアに苦心したろうなとも感じた。
それでも劇映画の群衆シーンなど流用ゆえに迫力充分だし、メインのトンネルのセット自体一体、幾らかかっているんだろうと想像を巡らせた。
アイディア勝利と展開の妙。ただし、回によって当たり外れがあるし、主人公コンビがいなければ歴史が変わっていたとも思わせるのも御愛嬌。
何よりも若い科学者たちのくせにすべての歴史に精通しているし、乗馬から武術もプロ級なのは笑ってしまったが。
2002年に製作された新作のパイロット版なんてのも入っていて、経年の設定変化に戸惑ったり、当時のキャスト陣へのインタビューとか、特典映像も多い。
奮発して2ボックスを購入した結果、思わず自分への歳暮になった。
一気に冬になったが、妙に嬉しい。