白昼の襲撃   昭和45年(1970年)

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スタッフ
監督:西村潔
製作:金子正且
脚本:白坂依志夫、西村潔
撮影:黒田徳三
音楽:日野皓正

キャスト
修 / 黒沢年男
ユリ子 / 高橋紀子
佐知夫 / 出情児
鳴海 / 岸田森
令子 / 緑魔子
ジョニー / レックス・ヒューストン
佐伯 / 殿山泰司
宮崎 / 桑山正一
松本刑事 / 北浦昭義
社長 / 若宮大祐

製作国: 日本 東京映画
配給: 東宝


あらすじとコメント

無軌道な若者たちと大人たちの妙な関係性を描く世相を反映した犯罪アクション。

横浜

運送屋に勤める修(黒沢年男)は偶然見かけたユリ子(高橋紀子)に興味を抱き、後を付けて彼女が働くゴーゴ─ハウスに入店。

得意先から集金してきた金を出し豪遊をしようとすると、そこでボーイとして働くかつて少年院時代の後輩でゲイの佐知夫(出情児)が声を掛けてきた。しかも友人のアメリカ人から拳銃を預かっていると。

閉塞感に苛まれていた修とユリ子は、すぐさま反応し拳銃を持つと海へと走りだした・・・

生きる目的を持たない若者たちが、犯罪に染まっていく姿を描くアクション。

少年院上がりで仕事が長続きしない主人公。彼の舎弟と自惚れるゲイの青年。そして金がすべてと思うヒロイン。

「高度経済成長」と呼ばれていたが、若者の多くが閉塞感に襲われていた時期。しかも左翼系大学生らが過激化した「60年代安保闘争」は沈静化されていたが、火種はくすぶっていた。

ところが本作制作当時に『日米安全保障条約』が自動的に10年延長されることになり「70年代安保闘争」が起きる時期。

敗戦の脱力感を引き摺る大人たちや、再起をかけ必死に邁進する大人たち。一方、若者たちは戦争自体は知らない世代だが、廃墟や闇市、諦念と絶望で厭世観に満ちた大人たちも周囲にいたことは知っている。

希望と虚無感が入り混じる日常。要は様々なタイプの人間がいるが、TVや新聞等でしか情報が入手できず、且つ比較対象できる情報量が圧倒的に少ない時代でもある。

アメリカではヴェトナム戦争で若者たちが疲弊している。若さゆえに自由さの意味が分からず、もがき苦しむ若者たち。

主人公ら三人はアメリカ人から入手した拳銃を持ち暴走し始めるというストーリィ。

展開は分かりやすく少年院上がりという劣等感に苛まれる主人公と場当り的で享楽主義的な若い女性。

先ず金持ちボンボンのバカ大学生たちに捌け口が向かい発砲事件を起こす。同じような歳ながら明らかに違う勝者と敗者。

結果、自らを負け犬と認めながら自由という意味を履き違えて行く。

そんな主人公たちに手を差し伸べるのが、60年代安保闘争で挫折した元ヒーロー。本来は左翼的思想の人間のはずだが、現在はヤクザに所属しているという異端。つまりは彼も「はぐれた負け犬」なのだが。

当然だろうが主人公たちは道を外すと後戻りが出来なくなる。

浅はかさが自分たちの首を絞めて行き、結果、政治的思想など関係なく親分子分的関係性に頼っていく。

監督は「死ぬにはまだ早い」(1969)、「ヘアピン・サーカス」(1972)を手掛けた西村潔。

本作の音楽はジャズ・トランぺッターの日野皓正で、かなりヒステリックで緊張感あふれる音楽をぶつけてくる。

出演陣の中では学生運動崩れの兄貴分になる岸田森の存在感が圧倒的。劇作家で評論家としても有名だった岸田國士を叔父に持ち萩原健一、水谷豊、松田優作といった後輩が慕ったことでも有名な役者。

その彼が世代間を結ぶ中間的存在を上手く表現していて、他の役者たちとの差が歴然。

些か端折り過ぎで粗っぽさも漂うが、生き方も行き場も持たない若者たちを描いた作品としては及第点だろうか。

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