自分優先では済まぬことが起きた。
物心がついてから60有余年住んでいるビルの取り壊しが決まった。元は父の名義であったが相続し、恐らく死ぬまで住み続けるんだろうと。
ところが東日本大震災があり、よせば良いのに耐震診断がなされ震度8.5以上で一部倒壊の危険性ありという結果。しかも緊急避難道に面して建っているので、ビル名が公表された。
でもさ、個人的にはそれだけの大きなのが再来襲したら、それこそ首都壊滅だろうよと。
ところが大義名分ができると、そこは資本主義の国。5年ほど前から取り壊して再建築という話が出ていたが、そうは簡単に行くまいと。
その決議がなされ区分所有者が地主も含め30名いたのだが、反対したのは自分だけ。まず、その結果に驚いた。
立ち退き反対同盟でもできるかもと思っていたが、あまりにも素直すぎというか、自分とは相入れない人しかいなかった。
しかも期限が決められ、さて青天の霹靂と再確認。人生で予想だにしなかったことが現実化。
何せ、物心ついてから初めての引っ越し。2DKの部屋を一人で使い、それこそ映画関係の紙商品からレコード、DVD、果ては食器や衣類が店を開けるほどある部屋。
しかもコレクターでもあるので、相当額の出費をして収集したもので愛着がある。困ったとしか考えが浮かばぬ。
一応とネットで各種別に買取業者を見てみたが、なんともトホホな査定額。
というよりもどこに引っ越すのか。新築後の各戸の販売価格はほぼ億越えで現在の部屋と等価交換できぬ立ち退き料。しかも建築に5年で、別所への引っ越し代から住む部屋の経費はすべて自分持ち。
よくこんな値段と条件で立ち退き同意をしたなと絶望的になる。
まあ、尤も建設当時から住み続けているのは自分の他に一部屋と地主たちのみ。古すぎる物件で区分所有者は既に引っ越し間借りさせているか、すでに管理組合に売却済みときたもんだ。つまり余所者に購入させない仕組みがここにきて単純集約化に繋がるわけね。
今の時代あり得ないだろう。どうして皆、そこまで事なかれというか、物分かりが良いのだろう。こんなに素直じゃ、すぐにでも戦争に巻き込まれるぞと心配にもなる。
しかし、である。現実は現実。
さて何をどこからどうするか。しかも自分で決めて出来ることは自分で決定したいタイプ。それが叶わぬ事態。
なんで今更、こんな人生展開になるんだよと頭を抱えている。
それでも退去時期は刻々と忍び寄る。


