スタッフ
監督:マイケル・ウィナー
製作:マイケル・ウィナー
脚本:ディック・クレメント、イアン・ラ・フレネ
撮影:ロバート・ペインター
音楽:フランシス・レイ
キャスト
ブルックス / オリヴァー・リード
パッキー / マイケル・J・ポラード
フォン・ハラー大佐 / ウルフガング・プライス
バーナード / ジョン・アルダートン
ウィリー / ヘルムート・ローナー
ヴロニア / カリン・バール
クルト / ピーター・カースティン
牧師 / ジェームス・ドナルド
スターン園長 / エリック・ジェルデ
日本公開: 1969年
製作国: イギリス シミター・フィルム作品
配給: ユナイト
あらすじとコメント
前回、前々回と脱走コメディで来た。今回も脱走ものではあるが何とも牧歌的というか、面白い設定の作品を扱う。
ドイツ、ミュンヘン
捕虜になったイギリス兵ブルックス(オリヴァー・リード)はミュンヘン郊外の捕虜収容所に送られる途中で、いかにもヤンキー的なノリのアメリカ兵パッキー(マイケル・J・ポラード)と知り合った。そもそも後方部隊で実戦経験のないブルックスに対し、どんな状況からでも脱走を試みるアグレッシヴなパッキーは苦手なタイプであった。
二人は収容されると、すぐにブルックスは労務として近くの動物園で飼育中のセイロン象「ルーシー」の補助係に任命される。絶句するが相手も生き物であり、妙な交流を持つようになるのに時間はかからなかった。
そんな折、ドイツ軍は劣勢に陥り都市部のみならず動物園までも爆撃されるようなる。ドイツ人の象担当飼育員が死亡し、園長はオーストリアのインスブルックにある動物園と交渉し、貨物列車で象を送致する決定を下す。
当然付き添いはブルックスであり、他にドイツ兵二名とオーストリア女性の同行が命じられた・・・
雄大なアルプスを背景に象と人間の脱出行を描く佳作。
厭戦家のイギリス兵が象と何とはなく心を通わせていく過程が妙にチャーミングだが、内容としては貨車移送をナチスの大佐に却下され徒歩で向かうことになっていく展開。
他方のアメリカ兵はいかにも「やんちゃ坊主」で脱走後はレジスタンス活動に身を投じていく。こいつも行く先々で再会し、トラブル・メーカ─として何かとアクション場面が起きていく。
象と主人公の同行者の他に、主人公に好意を寄せるオーストリア女性、二名の内の片方のドイツ兵は大酒飲みで気分屋のイヤな奴。もう一人はオーストリア人で心穏やかで主人公とウマが合うので、これらの人間関係も微妙な関係性を浮かばせてくる。
そこにナチスの傲慢なる大佐まで要所要所で出てきて主人公らを妨害していく。
解りやすい人間関係が絡まっての進行。ところが主人公がドイツ兵を手にかけたことから捕まれば射殺と知り、ならば象連れでスイスへ脱走しようという内容にシフトしていく。
本作は何と言っても通常ではあり得ないアルプスを背景にした象の道行き。
その対比が素晴らしく、当然牧歌的な田舎町を通りかかると村人挙げての歓待もあり、展開も微笑ましい。
他方、ドイツ軍が絡んでくるのでアクションも忘れない。しかもちゃんと『象』が重要な役割を果たすから微笑んでしまった。
フランシス・レイのとても戦争映画とは思えない流麗な旋律もミスマッチのようで実はすべてのバランスを繋げていると感じる。
出演陣ではアメリカ兵のマイケル・J・ポラードの『とっぽさ』が白眉だし、「戦場にかける橋」(1957)のラストで「狂気だ」と呟く軍医役、「大脱走」(1963)では捕虜側の隊長と、戦争映画ではいつも捕虜役で登場するジェームス・ドナルドが、嫌味な捕虜側牧師として出演しているのもマニア心をくすぐる。
とても解りやすい人物設定と美しいロケ撮影、バランスの取れた娯楽戦争アクションである。


