黒の超特急   昭和39年(1964年)

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スタッフ
監督:増村保造
企画:藤井浩明
脚本:増村保造、白坂依志夫
撮影:小林節雄
音楽:山内正

キャスト
桔梗敬一 / 田宮二郎
田丸陽子 / 藤由紀子
中江雄吉 / 加東大介
財津政義 / 船越英二
工藤 / 石黒達也
長沼博子 / 町田博子
加田 / 早川雄三
財津夫人 / 穂高のり子
女中 / 三島愛子
証券会社員 / 中条静夫

製作国: 日本
配給: 大映


あらすじとコメント

高度経済成長期の裏で蠢く人間たち。そんな時代に作られたシリーズものを紹介。シリーズ最終作で金や名誉に群がる人間の欲望を描いた社会派ドラマ。

岡山

とある駅前で不動産屋を営む桔梗敬一(田宮二郎)の下に東京から来たという開発会社社長中江雄吉(加東大介)が近隣の土地を細長く買いたいと申し出てきた。何でも自動車工場ラインの建設用地だと。

そして桔梗には坪当たり百円の手数料を支払うと持ち掛けた。計算すると自分の懐に二千万円が入ることになる。早速、地主たちを説得し同意を得ると上京し調印に漕ぎつけた。その時に中江の事務所に出入りする美女(藤由紀子)を認め、流石東京には美人がいるものだと驚いた。

そして半年後、桔梗は株で大損をし、どん底に落ちていた。そんな時、彼が斡旋した土地に「第二新幹線」が通るという話を聞いて・・・

欲まみれの人間たちを描く社会派ドラマ。

安く買い叩かれた土地が高騰。当然、事前から仕組まれたことだと直感し、上京し相手を問い詰める主人公。しかし相手は実力があり詐欺的手法で生きる男だ。

負け犬と化していた主人公が探偵張りに調査をしていくと新幹線公団の理事やら、その美人秘書、果ては政府与党の大物までが裏で絡んでいることを知る。

ならばと秘書の篭絡にかかっていくという展開。

つまり巨大な汚職案件を背景に欲にまみれた人間は底抜けな欲望を露わにし、それにドップリと浸かっても平然としているとあぶり出していく。

原作は産業スパイものや経済小説で名を馳せ、更に多ジャンルをこなした梶山季之によるもの。

黒のシリーズ第1作の「黒の試走車(テストカー)」(1962)も彼の原作によるもの。

1960年代初頭は高度経済成長が加速していく時期で、逆に産業スパイや裏金、買収といった巨悪が取り沙汰され映画やTVで数多く製作された時期でもある。

大映では「黒のシリーズ」と呼ばれ本作まで11作が作られた。本作は最終作で、第1作「黒の試走車」、第2作「黒の報告者」(1963)同様に増村保造による底冷えのする演出が雰囲気を醸している。

人間の『業』や『欲』という本能を鳥肌が立つほど感じさせ、カミソリで知らぬ間に切られているような冷たい痛みが少しずつ等間隔で連続していくような感覚を伴う手法でもある。

演者では特に裏回し的悪党の加東大介の存在が他者の追従を許さない程冷淡でヤラシイ。東宝の「社長シリーズ」での実直な専務役、他作品では江戸前の親方や、人情味溢れる頑固親父といった脇でこそ光る実力派の別な面が垣間見られてゾッとした。

特に加東のヤラシイ役は大映では本作の増村保造、東宝では成瀬己喜男監督の起用法で存分に堪能できる。

本作はいかにも当時の大映カラーがでている作品の一本で、大映東京の都会派らしい作品と評価できようか。

余談雑談+ 2026年10月10日
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