季節の変わり目か。
極端な寒暖差で体が悲鳴を上げるからでもなく、乾燥が心まで枯渇化させている訳でもなかろうが、性格が歪んでいく気がする。
本来は歳を取れば経験値が上がり許容力が増すとか、包容力が付き他人に優しくなるはず。
ところが間違いなく自分は、益々人間嫌いになっている。なるべく新しい人と知り合いたくないし、親し気に近付いてくる他人は詐欺師としか思わないほど。
そんな自分だが、先立て路上で突如声を掛けられた。相手は見知らぬ老婦人だった。一瞬たじろいだが、どうやら店を尋きたかったらしい。知らないので返答できなかったのだが、今やスマホで探せば道案内までしてくれるはずだぜ。
否や、それ以上に眉間にシワを寄せ自分から避けなくて済むように道の端を真っ直ぐ歩いているコワモテな男に、何故声を掛けたのか。
こちらとしては、見知らぬ他人とコンタクトを取りたくないぞ、とアピールしているのに。普通ならそんな風態で歩く男には間違っても近寄らないんじゃないの。
まあ、昨今はスマホの「ながら見」ならぬ、「ガチ見」して歩く猛者もいる。地元では大きなトランクなりキャリーケースを引き摺りながらスマホを見て歩く観光客も多く、閉口しきり。
しかも歩道に埋められた目の不自由な方用の黄色い点字ブロックが縦横無尽に拡がっているので引っ張っているトランクが暴走したり、本人自体がつまづいたり。
それでもスマホが優先な防御姿勢を取るので驚く。まさに、お近付きになりたくないタイプだ。
まあ、他人嫌いと言ってはいるが、自分から見て嗅覚的に大丈夫だと感じる人間は適応外だが。それでも、あくまで自分基準で決めるのであって、決して他人からの接触ではない。
で、ふと思った。こんなオーラさへ発している自分に道を尋くのって、怖いものを知らないのか、と。それでも、こちらより御高齢のオバサンだったから丁寧語で返しはした。そこいらは常識的、か。
で、考えてみた。大人的なというか、常識的な発想での『謝絶』と『拒絶』の違い。スマホ命の人間は年齢を問わず『拒絶』。では、謝絶の方はどんなタイプ。即座には思い浮かばなかった。
次の瞬間、大前提が断るというか相手にしたくないのが最優先だなと苦笑い。
まあ春めいてくれば、少しは性格も上向くか。まさか更なる毒草が芽吹き、急成長しなければ良いけどな。