スタッフ
監督:スチュアート・ヘイスラー
製作:ウィリス・ゴールドベック
脚本:W・R・バーネット
撮影:テッド・マッコード
音楽:デヴィッド・バトルフ
キャスト
アール / ジャック・パランス
マリー / シェリー・ウィンタース
ヴェルマ / ロリー・ネルソン
コサック / リー・マーヴィン
レッド / アール・ホリマン
ビッグマック / ロン・チャイニー Jr
チコ / ペドロ・ゴンザレス・ゴンザレス
メンドーサ / ペリー・ロペス
バントン医師 / ハワード・セント・ジョン
日本公開: 1956年
製作国: アメリカ ワーナー作品
配給: ワーナー
あらすじとコメント
前回の「ドラゴン爆破指令」(1967)でプレイボーイ的役を演じた個性派俳優ジャック・パランス。本来はいかにもの悪役が多い。今回も然りで、前科者にどのような心情変化が起き、それが何をもたらしていくかを描いた犯罪ドラマ。
アメリカ、カリフォルニア
6年の刑期を終えシカゴ近くの刑務所から出所したアール(ジャック・パランス)。そしてシエラ・ネバダ山脈にほど近い静かな場所にある家にいくと愛人マリー(シェリー・ウィンタース)と子分のコサック(リー・マーヴィン)とレッドが待っていた。
しかしマリーには特に冷たく接するアール。何故なら釈放後の移動途中で祖父母に育てられている脚の悪い少女ヴェルマ(ロリー・ネルソン)と出会い、心動かされたからだ。
そんな彼はかつてのボスで病床のビッグマック(ロン・チャイニー Jr)に呼ばれリゾートホテルの貸金庫強盗を持ち掛けられる。
その金が手に入れば少女の脚を治せる・・・
前科者が要らぬ恋心を抱いたことで迎える末路。
改心の情でもないが一応の善行を考える男。しかし、それに使おうとするのは汚い金。
そんな主人公に何があっても付いて行こうとする愛人。子分らからも憧れられてはいるが、二人ともどこか素人臭が漂う。
恐らく次々と問題が発生していくのだろうと思わせてその通りの筋運びとなる。
本作はハンフリー・ボガード主演の「ハイ・シェラ」(1941)の14年後に製作された完全リメイク作である。
ところがオリジナルは日本未公開で、当時の観客はこちらを先に観ていた。つまり比較してはいけないということでもある。
とはいえ当時売り出し中のジャック・パランスは中々存在感があるし、脇もリー・マーヴィンやチョイ役ながらデニス・ホッパーや日本の怪獣映画にも主演したニック・アダムスも登場してきて、見どころはある。
しかし本作の白眉はフルカラー撮影でのシエラ・ネヴァダ山脈のロケーション。目を見張る美しさがあり、その下で繰り広げられる数々のシーンは、ある意味で見事なる観光映画として機能している。
ストーリィも一応ひねりがあり、面白い。特に妙な三角関係になる愛人といたいけな少女の対比が、後に複雑な心情をこちらに与えてくる。
元来悪人でありながら、心を入れ替えようともする主人公に、どのように感情移入をさせようとしてくるのか。
なかでも何故か絶対に主人公に寄り添う愛人と雑種犬の存在が際立つ。
愛ゆえの「依存」というか、ダメ男に対する「母性愛」。犬とは完全なる「主従関係」。まさしくどちらも『いたいけ』なのである。
そこにきて、いかにも「いたいけ」な脚の悪い少女の存在が主人公の先行きを左右していく。
物語としては先読みが簡単だが、それでも感情移入させていくので飽きない作品ではある。


