スタッフ
監督:ジェームス・マンゴールド
製作:G・ウッズ、C・コンラッド、E・スワードロウ
脚本:ジェームス・マンゴールド
撮影:エリック・アラン・エドワーズ
音楽:ハワード・ショア
キャスト
ヘフリン / シルヴェスター・スタローン
ドンラン / ハーヴェイ・カイテル
フィッグス / レイ・リオッタ
ティルデン / ロバート・デ・ニーロ
ランドーン / ピーター・バーグ
シンディ / ジャニーン・ガラファロー
ラッカー / ロバート・パトリック
リズ / アナベラ・シオラ
バビッチ / マイケル・ラパポート
日本公開: 1998年
製作国: アメリカ ミラマックス作品
配給: 松竹富士
あらすじとコメント
前回の「ダンボドロップ大作戦」(1985)で嫌々ながら象の輸送を命じられる軍人を演じたレイ・リオッタ。今回は警官役。実力派キャストが揃った中で、脇に回りながらも存在感を示した社会派ドラマ。
アメリカ、ニュージャージー
ハドソン川を挟んで対岸がニュー・ヨークという小さな町で保安官をするヘフリン(シルヴェスター・スタローン)。
そこはNY市警の警官たちが数多く住む、ある種、特殊な街であった。そこを取り仕切るヴェテラン警官ドンラン(ハーヴェイ・カイテル)を筆頭に、相当な悪徳警官集団で形成されている場所。街自体もマフィアの資金援助で出来たほどである。しかも仲間意識が強く、難聴の所為で市警に就職できないヘフリンは劣等感からやる気をなくし、すべてを見て見ぬ振りで通していた。
ある晩、とある警官が酒に酔っての運転で帰宅中に絡んできた薬物中毒の若者の車に衝突され、思わず発砲し相手を死なしてしまう事件が起きる。
すぐさま、さっきまで一緒だったドンランらが駆け付けると・・・
真実と見紛うばかりに繰り広げられる警官たちの姿を描く社会派ドラマ。
若い女性を水中から救助したことで片耳が聞こえなくなり、その所為で市警察に転勤できない主人公。
しかも彼が守るのが『警官王国』と呼ばれる何とも特殊な地域。仲間意識が強くマフィアとも関係を持ち、麻薬の横流し、証拠隠滅に捏造など当たり前の警官たちが住んでいる。
まるでチンピラ軍団かと思わせる。そんな彼らが勤務するのが川を隔てた大都会NY。
そこでは凶悪犯罪が多発し、常に死が身近である。ゆえに誰もが精神的疾患を発症し、それを知らぬ振りで生活している。
当然仲間意識が強固になり、賛同できぬ者は弾かれる。しかも、それは『死』を意味するのだ。そしてそれすら皆で隠蔽する。
そこに住む警官の妻たちも問題を抱え、ただれた関係もある。しかも主人公が救出し好意を寄せた女性は、そこの警官の妻となり、その亭主も問題を抱えている。
そんな中で、住人で真面目な若い警官が仲間と酒盛りをした後、麻薬中毒の黒人二人を誤認射殺したことから一挙に何とも嫌な展開にシフト。
何と黒人が銃を持ち出したので射殺したと。しかも若い警官は混乱状態で何を言い出すのか分からず入水自殺したと偽情報を流し、身を隠すように命じ事件の隠蔽をする始末。
主人公は劣等感と嫉妬から見て見ぬ振りしかできない厭世的な性格になっている。そこに事件性を嗅ぎ取った「内部監察局」が登場してきて街の住人やら主人公らに真実を話すように迫ってくる。
その監査官を演じるのがロバート・デ・ニーロ。しかも街を牛耳るハーヴェィ・カイテルとは、同期ながら仲が悪い。
調査が進み真相解明となるのか。はたまた隠蔽されるのか。
鬱憤の溜まった主人公がどのような化学変化を起こすのか。もしくは、それでも起こさないのか。
何とも真面目な性格は損をするというか、どこかで死を覚悟しないといけない特殊な世界。
マフィアと大して違わないし、それは弁護士会や市長さえ巻き込んでいく。
果たして落とし所はどこに向かうのか、と心中穏やかではない嫌な緊張感が漂う。
実力派の渋い役者を揃え、クセのある嫌な役を演じさせる。
それなりに緊張感と厭世観を両立させながら見せてくる力作である。


