スタッフ
監督:ゴードン・ダグラス
製作:アーロン・ローゼンバーグ
脚本:アビー・マン
撮影:ジョセフ・ビロック
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
キャスト
リーランド / フランク・シナトラ
カレン / リー・レミック
カラン / ラルフ・ミーカー
ショーエンスタイン / ジャック・クラグマン
ファレル / ホレス・マクマホン
ロバーツ医師 / ロイド・ボックナー
ネスター / ロバート・デュバル
フェリックス / トニー・ムサンテ
ノーマ / ジャクリーン・ビセット
日本公開: 1968年
製作国: アメリカ アーコラ、ミルフィールド・プロ作品
配給: 20世紀フォックス
あらすじとコメント
引き続き複雑な人間ドラマを取り入れた刑事もの。今回は同性愛と多淫という当時はタブー視されていた問題を絡めている。
アメリカ、ニュー・ヨーク。高級マンションで大実業家の息子の死体が発見される。右の指二本とペニスが切り取られた全裸死体だった。
19分署に勤めるリーランド(フランク・シナトラ)たちは捜査の結果、被害者が同性愛者で痴情のもつれの犯行であると断定し、同棲相手のフェリックス(トニー・ムサンテ)の行方を捜し、安ホテルに隠れていたところを逮捕する。リーランドの取調べで自白するフェリックス。
その結果、リーランドは警部補に昇進するが、妻カレン(リー・レミック)は忙しさにかまけて相手をしてくれない彼に不満を募らせ浮気を繰り返していた。しかし、離婚に踏み切れないリーラン ド。
やがて、裁判で有罪となったフェリックスの死刑が執行された日、マッキーヴァーという税理士が競馬場のスタンドから投身自殺する。その彼の妻ノーマ(ジャクリーン・ビセット)が、リーランドの元にやって来る。
これは自殺じゃない・・・
正義感が強い刑事の私生活や、同僚たちとの軋轢といった苦悩を描くドラマ。
何よりも親子二代の警察官で、曲がったことや不正が大嫌いという主役を演じるフランク・シナトラの渋さが見所。
淫乱で浮気を繰り返す妻に手を焼きながらも離婚できない男。だが、差別されがちな黒人には対等に接し、逆に権力を振りかざす議員や上司には容赦ない。その上、ハレンチな同僚刑事をも許さないという筋金入りのヒーローだ。そんな設定がシナトラ初の刑事役。
ストーリィとしては同性愛や多淫症、殺伐とした時代の現代人が抱える心の闇を取り入れた設定。だが、警察署内での様々な出来事や刑事たちの人間性といったストーリィに大して影響しない細かいエピソードなどは、ウィリアム・ワイラー監督の秀作「探偵物語」(1951)の設定と同じ。
それを完全に意識して、時代性を加味した作劇。見ていて、「探偵物語」のリメイクかと思った。原題からして「THEDETECTIVE STORY」と「THE DETECTIVE」 だ。
また、出世を狙う者、経験不足の新米、直情的な男など様々なタイプの同僚が登場し、ドラマに厚みを持たせようとしている。つまり、当時日本で流行っていた刑事ドラマとの類似点も数多い。もっとも、それは日本側がパクッたのだが。
そんな中で頑として信念を曲げない主人公。やがて、そんな彼がどうなっていくのか。当時としてはある意味、斬新な設定だろう。
シナトラが心の闇を引き摺る主人公を熱演しているし、脇役陣も手堅い選択。「ある戦慄」(1967)で異常性格のチンピラを演じたトニー・ムサンテも不気味なホモ役を熱演。同僚刑事には「おかしな二人」(1968)のTVシリーズでズボラなオスカー役を演じたご贔屓のジャック・クラグマンや、後に渋さが全開するロバート・デュバルに、当時、売出し中のジャクリーン・ビセット。他にも知る人ぞ知るロイド・ボックナーやラルフ・ミーカーなど、実に渋い選択。
当初、ビセットの役を実生活でシナトラ夫人だったミア・ファーローに振ったが、彼女が蹴ったため、夫婦関係にピリオドを打った話も有名。こういうところに一家を構えていたシナトラの傍若無人さが垣間見られる。
確かに今見直すとまどこっしい作品だが、当時としては斬新な設定を手堅く処理したゴードン・ダグラス監督の手腕は評価されよう。


