毒薬と老嬢 – ARSENIC AND OLD LACE (1944年)

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スタッフ
監督:フランク・キャプラ
製作:フランク・キャプラ
脚本:ジュリアス&フィリップ・エプシュタイン
撮影:ソル・ポリト
音楽:マックス・スタイナー

キャスト
ブリュスター / ケーリー・グランド
ジョナサン / レイモンド・マッセイ
オハラ巡査 / ジャック・カースン
エレイン / プリシラ・レーン
アインシュタイン博士 / ピーター・ローレ
アビー / ジョセフィン・ハル
マーサ / ジーン・アディア
ブロフィー / エドワード・マクナマラ
テディ / ジョン・アレキサンダー

日本公開: 1948年
製作国: アメリカ ワーナー・ブラザース
配給: ワーナー


あらすじとコメント

前回の「征服されざる人々」(1947)で、印象的な酋長を演じたボリス・カーロフ。今回、彼自身は出演していないが、彼の名前『ボリス・カーロフ』が、ある意味、キーワードとなるシュールなコメディ。

アメリカ、ニュー・ヨーク。かつてジョージ・ワシントンも住んだことがある由緒正しき屋敷町に住む、アビー(ジョセフィン・ハル)とマーサ(ジーン・アディア)の姉妹は、65歳を超えた現在でも、身寄りのない年寄やホームレスに、食事を御馳走したり、小遣いまで恵むような近所でも評判の老姉妹であった。

今日も牧師やら警官がご機嫌伺いに来ていた。ただ、近隣を悩ますのは、自分がルーズベルト大統領だと信じ込んでいる頭の弱いテディの存在。それでも和やかな邸宅である。そこへ、人気劇作家で姉妹の甥であるモーティマー(ケーリー・グランド)が、隣接する墓地を隔てた向こう側の牧師館娘エレイン(プリシラ・レーン)と結婚を決めたと飛び込んできた。

しかし、老姉妹には秘密があった。それは窓際の長椅子の中にあるのだが・・・

イギリスとは違うタイプのブラック・コメディの佳作。

お人好しとして評判の老姉妹。同居しているのは頭の弱い甥。で、主人公も甥のひとり。更に主人公の兄も凶悪な殺人犯で指名手配中の身の上。

何やら老姉妹の血縁者は奇妙な人間ばかりである。そんな中で主人公は有名劇作家。

「洞察力に長けた」とか「知的」というイメージが強いし、頭がおかしければ出来ない稼業。まあ、性格は別としてだが。

ところが、結婚は不幸への第一歩などと言ってるのに恋に落ちたら一直線という、やはり、おかしな「気」がある。

随分と賑やかな人物描写で幕を上げるのだが、その実、実にブラックでシュールな背景がある。

そこへ、更に凶悪殺人犯と、同行の中年男が登場して来る。その凶悪犯こそ、「ボリス・カーロフ」にそっくりなのだ。

ただ、誰その人、と思う人も多いだろう。確かに有名な大スターではない。だが、誰でも知っている役者でもある。それは彼が「フランケンシュタイン」の怪物役を当たり役にしていたからだ。

本作でも演じているのはレイモンド・マッセイという、彼も「天国への階段」(1946)J・ディーンの「エデンの東」(1954)等、個性的な役者なのだが、それこそフランケンシュタインそっくりのメイクで登場して来る。

実際に、ボリス・カーロフが演じているのかと思わせるほど。しかも、同行してくる小男は、ドイツ映画の傑作「M」(1931)で、異常性欲犯罪者を演じ、以後、怪奇映画にやたらと出演するようになったピーター・ローレだから、ニヤニヤのし通しなのである。

しかもその凶悪殺人犯は、「ボリス・カーロフ」に似てると言われると激高し、飛びかかるという設定なのだから、笑ってしまう。

矢鱈とオーバーアクトで、力いっぱい演じる主役のグランドも、自分を大統領だと信じ切っているノー天気な甥を演じたジョン・アレキサンダー等、妙味を見せるが、何といってもボリス・カーロフ、否や、そっくりさんを演じたレイモンド・マッセイと気弱な同行者を演じたピーター・ローレが、実に味わい深い上質な掛け合い漫才の態を見せて秀逸。

監督は『アメリカの良心』と言われたフランク・キャプラ。そんなキャプラとしては異質だが、それでも登場人物は、いつもキャプラが描く理想の体系である、心優しき善人たちであるのだが、それが、逆に、これほどブラックな設定になりうると感じさせ、唸ってしまった。

確かに、上映時間が長いと感じさせるし、いかにも舞台劇という印象でもあるし、キャストもどちらかというとキャプラ一家ではない。

それでも、キャプラらしいのは、大したものである。

余談雑談 2012年7月7日
先週土曜は「レバ刺」終了日。それにしても、あの狂走曲は凄さまじかった。冷やかしで行きつけの店を覗いたら、レバ刺どころか、ほぼ完売状態で、満席。店長は疲れ果て、世の中にこんなにもレバ刺ファンがいるとは思わなかったと力なく笑っていた。明けて今週...