スタッフ
監督:マーティン・スコセッシ
製作:アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ
脚本:ポール・シュレイダー、マーディク・マーティン
撮影:マイケル・チャップマン
音楽:レス・ラザロビッツ
キャスト
ラモッタ / ロバート・デ・ニーロ
ヴィッキー / キャッシー・モリアーティ
ジョーイ / ジョー・ペシ
サルヴィ / フランク・ヴィンセント
トミー / ニコラス・コラサント
レノア / テレサ・サルダナ
パッツィ / フランク・アドニス
マリオ / マリオ・ガッロ
シュガー / ジョニー・バーンズ
日本公開: 1981年
製作国: アメリカ チャートフ・ウィンクラー・プロ作品
配給: ユナイト
あらすじとコメント
マーティン・スコセッシ監督で繋げた。主演はロバート・デ・ニーロ。「タクシー・ドライバー」(1976)が有名だろうが、以前、ここで扱ったので、この作品にした。実在のボクシング・チャンピオンを扱った人間ドラマの秀作。
アメリカ、ニュー・ヨーク1941年、イタリア系移民のラ・モッタ(ロバート・デ・ニーロ)は、ミドル級ボクサーとして連戦連勝していた。あまりの強さに対戦相手にも事欠く始末である。
そんな中、彼は弱冠15歳のブロンド娘ヴィッキー(キャシー・モーリアリティ)に一目惚れし、妻と離婚してまで再婚する。これで、益々増長するラ・モッタであったが、試合は当然マフィアが仕切っており、様々な裏があるもの。しかし、彼は、そんなことは気にせず、自分の実力だけで伸し上がろうとしていた。
当然、チャンピオンへの挑戦はできず、しかも、組織側は彼の無鉄砲ぶりに業を煮やし、とある試合でラ・モッタが優勢にもかかわらず、判定負けさせてしまう。怒りの収まらない彼は、マネージャーで弟のジョーイ(ジョー・ペシ)に当たる始末。
それでも、チャンピオン・ベルトに挑戦する機会が、遂に、やって来て・・・
ドラマティックな人生を歩む男の半生を描く人間ドラマの秀作。
学はないが腕っぷしが強い。自分の実力を信じ、完全なる一匹狼としてボクシングに賭ける主人公。
試合運びも、駆け引きではなく、力付くで正攻法。それでいて強い。その証拠に『ブロンクスの牡牛』と異名を取り、3年間も無敗を続ける。
恋愛に関しても不器用というか、ストレートな攻めしかできない。
そんな主人公のボクシングをメインとした人生を綴っていくのだが、何といっても、それぞれのボクシング・シーンが圧倒的に素晴らしい。
全編モノクロ映画なのだが、時代背景を際立たせるために、敢えて用いた手法であろうが、それが見事にマッチというか、作品全体の雰囲気にシンクロしていて鳥肌が立つ。
また、家族たちとのプライベート映像だけ、わざと色褪せたカラーの16ミリ・フィルムとして登場させるなど、演出技法にも砕身している。
主役のデ・ニーロもボクサー絶頂期から引退後の晩年を演じるのに実際に30キロ近く体重を増減させ、アカデミー主演男優賞を勝ち取った。
鬼気迫る演じ込み方で、実際のラ・モッタが降臨しているような気にさせられる。
だが、自分が一番気に入ったのは主人公の弟役のジョー・ペシ。脇に徹してるが、デ・ニーロ以上の『役者の矜持』を嗅いだ。
彼の存在なくして、本作は後々まで印象に残る作品には成りえなかったであろうと、再見して感じた。あまりにも役にのめり込んだデ・ニーロの緩衝材になっていると。
昔読んだ、イタリアの俳優マルチェロ・マストロヤンニの自伝で、『自分が演じるのは常にイマジネーションであり、リアルに演じることではない。自分にはとてもじゃないが、作品のために体重を驚異的に変動させることはできない』と。
まさに本作でのデ・ニーロのことだ。実は、自分もマストロヤンニと同意見である。
鬼気迫る作品であり、秀作でもあるのだが、それでも心の充足感は昇華しない。


