スタッフ
監督:ジャック・スマイト
製作:ジェリー・ガーシュウィン、E・カストナー
脚本:ウィリアム・ゴールドマン
撮影:コンラッド・ホール
音楽:ジョニー・マンデル
キャスト
ハーパー / ポール・ニューマン
エレイン / ローレン・バコール
タガート / ロバート・ワグナー
ベティ / ジュリー・ハリス
グレイヴス / アーサー・ヒル
スーザン / ジャネット・リー
ミランダ / パメラ・ティフィン
フェイ / シェリー・ウィンタース
トロイ / ロバート・ウェッバー
日本公開: 1966年
製作国: アメリカ ガーシュイン&カストナー・プロ作品
配給: ワーナー
あらすじとコメント
前回扱った「明日に向って撃て!」(1969)の主役ポール・ニューマン。メソッド演技に定評があるが、今回は探偵役を演じた作品にしてみた。有名な原作の映画化で佳作。
アメリカ、ロサンジェルスしがない私立探偵ハーパー(ポール・ニューマン)は、友人の弁護士から大富豪サンプソンの夫人エレイン(ローレン・バコール)を紹介された。いかにもセレブな夫人は、亭主が居なくなったので調査して欲しいと依頼してきた。大した仕事もなかったし、自分の離婚問題も視野に入れて金になればと調査を開始した。
彼は先ず、サンプソン氏が借りていた部屋に行き、そこでかつての有名女優フェイ(シェリー・ウィンタース)の写真を発見する。現在の彼女は結婚していて、夫は密入国関係の仕事をするしたたかな悪党であったはず。
そしてハーパーは、徐々に真相に近付いていくが・・・
シケた探偵が焙りだすセレブの都の真相を描く探偵ドラマ。
富豪の失踪事件に端を発し、様々な人間が登場しては殺されていき、主人公も散々痛めつけられながらも真相に近付いていくというハード・ボイルド作。
キャストも中々豪華で、それぞれが適材とも感じ、且つ上手い演技を披露している。
原作はロス・マクドナルドの有名小説で、本作の9年後に「新・動く標的」(1975)が同じくニューマン主演で映画化された。
つまり、時間は開いたものの、それだけ本作が面白く仕上がっている証左でもある。
何といっても本作は、冒頭シーンが白眉。
二日酔いの早朝、コーヒーを飲もうとする主人公の行動からして、映画に引き込まれる。
以前までのハード・ボイルド作はクールで格好良い主人公が定石であったが、真逆なので驚いた。
それがあまりにも見事なので、本作後に制作された、やはり探偵映画の秀作「ロング・グッドバイ」(1973)の冒頭シーンは間違いなく影響が嗅ぎ取れる。
冒頭で主人公のキャラクター設定が見事に表され、以後の進行に寄与していることは間違いないし、ラストのラストで見せる表情での締めくくり方も秀逸。
つまり、主演のポール・ニューマンの力量に牽引されているともいえる。
ストーリィ自体は1949年に出版された探偵小説なので、先読み可能の上に、多少まどろっこしいのが難点ではある。
何もこれは本作に限ったことではなく、往年の探偵小説を映画化するにあたり、設定を現在に置き換えると、どうしても時代性がミスマッチして内容に違和感を覚えることが多い。
だが、ニューマンの他にヴェテランから若手までのキャスト陣や、駄作が多いジャック・スマイト監督の、まるで神が降臨したかのようなキレのある演出によってトータル性もあり、飽きさせない佳作に仕上がっている。
ある意味、それまでのハードボイルド探偵映画の流れを変えた作品でもあるし、かといって歴史的金字塔に成りえないという不思議なスタンスの映画でもあるのだが。


