スタッフ
監督:ベルンハルト・ヴィッキ
製作:アーロン・ローゼンバーグ
脚本:ダニエル・タラダッシュ
撮影:コンラッド・ホール
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
キャスト
クライン / マーロン・ブランド
ミューラー / ユル・ブリンナー
エスター / ジャネット・マーゴリン
スタッター大佐 / トレヴァ-・ハワード
クルーゼ / マルティン・ベンラート
ドンキーマン / ハンス・クリスチャン・ブレッヒ
ミルケレイト / ライナー・ペンケルト
アンバック船医 / ウォリー・コックス
ブラナー / マックス・ハウフラー
日本公開: 1965年
製作国: アメリカ A・ローゼンバーグ・プロ作品
配給: 20世紀フォックス
あらすじとコメント
お気に入りの名優トレヴァー・ハワード。前回の「がちょうのおやじ」(1964)同様、狡猾なイギリス軍将校役でゲスト出演している作品を選んだ。中々、良く出来た海洋アクション。
日本 東京第二次大戦下の1942年、ドイツ大使館に問題のある海軍士官ミューラー(ユル・ブリンナー)が呼ばれた。7000トンの生ゴムを占領下のフランスまで輸送する任務のためだ。そんな彼は乗組員の他に犯罪者や政治犯が乗船することに抗議した。しかし、上層部の命令は絶対である。
一方、インドではイギリス情報部のスタッター大佐(トレヴァー・ハワード)が、スイス国籍のクライン(マーロン・ブランド)を呼んでいた。実は、彼は偽造パスポートでスイス人に成りすまして隠遁生活をしているドイツ人であった。
更に、大佐はクラインが爆破の専門家であることも承知しており、ある提案をする。生ゴムを積載したドイツの貨物船に乗り込み、自爆装置を故障させて所定の場所で米海軍に引き渡せ、と。当然、断るクライン。だが、彼がゲシュタポに追われている事実をも知っており、ドイツに送還することも可能だと不敵に笑った。嫌が応もなかった。
そしてクラインは親衛隊の大佐に成りすまして乗船することになったが・・・
二転三転する意匠の凝った海洋サスペンス・アクション。
ドイツ人でありながらゲシュタポに追われる身の男。深酒からの判断ミスで自分の船を撃沈させられた海軍士官。どちらも一筋縄ではいかないタイプ。
他にナチスを信奉し船長を嫌いながら副官として乗船する航海士、神経を病んでいる船医、犯罪者や政治犯も問題を起こしそうだ。
味方がいない状況で爆弾を探し解体しなければならないサスペンスと、腹の中の解らない人間たちが織り成す人間ドラマ的サスペンス。
更に、主人公を窮地に追い込みそうな海軍提督が登場したり、日本海軍によって撃沈させられたアメリカ人たちまでが提督命令で強制的に乗船させられてくる。
しかも若いユダヤ人女性が混じっていたりするから、更に複雑な人間関係が構築されていく。
ストーリィも起伏に富み、次々とサスペンスを喚起させつつ、空撮や凝ったカット等で盛り上げながら、緩急の付いた編集で繋いでいく。
アメリカ映画でありながら、登場人物がほぼドイツ人で、監督も、戦争映画では少年兵たちが悲惨な運命を辿る「橋」(1959)や、「史上最大の作戦」(1962)のドイツ部分を演出したドイツ人ベルンハルト・ヴィッキを起用。
つまり、敗戦国出身ゆえの単純な娯楽大勝利映画を作らない人間。故に、何とも微妙というか、アメリカ映画やイギリス映画とも違うテイストが醸しだされ、船酔い感覚に陥っていく。
ただ、渋々スパイ役を押し付けられた主人公の性格設定が、その後変化していくことに妙な違和感があるのが難点。
それでも、アクションとスリラーと人間ドラマが上手く混じりあった構成は、上手くまとまっていると感じる。


