アンリエットの巴里祭 – LA FETE A HENRIETTE(1954年)

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スタッフ
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
製作:アリュ・ニソッティ、ピエール・オコンネル
脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ、アンリ・ジャンソン
撮影:ロジェ・ユベール
音楽:ジョルジェ・オーリック

キャスト
アンリエット / ダニー・ロバン
モーリス / ミシェル・オークレール
リタ / ヒルデガード・ネフ
ロベール / ミシェル・ルウ
脚本家1 / アンリ・クレミュー
脚本家2 / ルイ・セニエ
酔っ払い / サテュルナン・ファーブル
アーサー / ジュリアン・カレット
タイピスト / ミシュリーヌ・フランセイ

日本公開: 1954年
製作国: レジーナ、フィルム・ソノール作品
配給: 東和


あらすじとコメント

映画の中の「映画」。つまり、バックヤードもので繋げる。何ともお洒落で面白い、映画が出来るまでを綴る好編。

フランス 湖水地方ホテルに滞在中の二人の脚本家(アンリ・クレミュー)、(ルイ・セニエ)が仕上げた脚本がボツになったという知らせが入る。消沈する二人だが、すぐに新作に取り組むことにした。

さて、題材はどうする。設定はパリだ。で、内容は若い二人のラブロマンスで、とひとりが言うと、もう片方が、それじゃ単純だ、サスペンス的要素も取り入れようと。二人は勝手にヒロインをアンリエット(ダニー・ロバン)に決め、お互いのイメージの中で物語を進行し始める。

先ず、彼女の名前は「聖アンリエット」から両親が取り、なので誕生日は7月14日で、つまり『巴里祭』の日だ。ならば、彼女の誕生日であり、お祭り騒ぎの中の一日の出来事を描こうと。

恋人は港で、というと、また片方が、それじゃダメだと言いだして・・・

何とも洒落た作劇で繰り広げられるコメディの佳作。

折角の脚本がボツになり、新聞からアイディアを見つけようとするが、社会ではどうにもならないことしか起きてないと記事を読み始める。

それが、世界を席巻したイタリア・ネオリアリズムの秀作「自転車泥棒」(1948)と、本作の監督であるジュリアン・デュヴィヴィエ自身の「陽気なドン・カミロ」(1951)と同じで、これじゃ映画にもならんと。

先ず、この二本の内容は知っているよねという、くすぐりで開幕。

それから二人の脚本家は勝手にストーリィを進行させ始める。要は、観客は彼らの頭の中で繰り広げられるイメージを見せつけられる進行である。

脚本家の一人は真面目そうな紳士で、人間ドラマを絡めた恋人らの一日。もう一人は変わり者風情で、すぐに悪役や殺人を持ちだす始末。

見ているこちらは、良いムードだなと思っていると、怖い人がいきなり登場してきたり、犯罪に巻き込まれたりと大騒動に持って行こうとする。

しかも、何ともなめらかな台詞と凝った撮影で見せられるので、実に心地良い。

ところが、現実の脚本家のシーンに戻ると、お互いが勝手なことを言い合って、口実筆記をする女性タイピストが困惑したり、逆に彼女がアイディアを助言したりするから、一体何なのだと混乱するが、その繋ぎも実になめらかな進行で、何とも軽妙でお洒落だなど引き込まれる。

ワルとして登場させながら、途中で、違うキャラクターにシフトさせたり、忘れていたエピソードが突然、復活したりと、成程、脚本を書くという作業は、実際にこのような手順を踏んで仕上がっていくのだと教えられもする。

しかも、脚本家が二人というのも、実に面白く、確かに日本でも黒澤明などは四名ほどで共同執筆するが、本作のモデルはイギリスのマイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーと言われている。

確かに、生死を彷徨う男が天国に行くかどうかを白黒とカラーで表現するファンタジーの秀作「天国への階段」(1946)や、ドイツの将軍を拉致して占領下の島から脱出を試みる佳作「将軍月光に消ゆ」(1956)など、毎回違う作品を発表した二人。

コンビ解消後は、それぞれの個性が前面にでた作品をお互いが発表し、それらを見ると、本作のどっちが誰でと、想像できて楽しい。

兎に角、フランスらしいちょっと斜に構えた作品ながら、オチも楽しいコメディの佳作。

余談雑談 2018年2月17日
先立て、飲み仲間であり、今度の温泉旅行に同行する友人から、沖縄久米島への旅行話が出た。 何でも知り合いが、そこで農園をしているとかで、訪れてみたいと。自分も久米島は一度行ったきり。しかも十年近く前だ。 その時は、台風一過でホテルの朝食も、近