余談雑談 2022年5月15日

今回の都々逸。

「お前正宗 わしゃ錆び刀 お前切れるがわしゃ切れぬ」

切った切られたとは穏やかじゃないがこれは侍やヤクザのような直接的斬り合いでなく、「縁切り」ですよね。

刀を使うのは「刃傷沙汰」とも言うが『にんじょう・ざた』と初めて聞いたときは「人情沙汰」という漢字が浮かんだ。それも男女間のトラブルではなく人間同士の情けの掛け合いてな心意気って意味合いで。

もしくは「地獄の沙汰も金次第」の『さた』なら、人情は金で買える、とか。だから他人は信用してはいけないの例え。

更にイメージすると女性側の未練であり、それが積もり積もって刃傷沙汰に発展。今でいうストーカー気質をお持ちの女性。

尤も、今は男女関係ない気もするし、2時間ドラマや深夜枠の愛憎劇だと、力強い男性が付き纏う側でゾンビというかホラー系で殺人に発展する内容が多いか。事実、男性によるストーカー殺人は起き、何度も報道された。

せめて、未練たらしさは都々逸のような場で発散させて欲しいものだ。俳句や短歌のように教養ある気高い人間が読むのとは違うのも魅力で、だからこその妙味。川柳のように「シャレ」や「おどけ」とも違い、哀愁を帯びているのも特徴か。

でも、今日のものはある程度の知識がある前提の都々逸だよな。刀工『正宗』なんぞ、今じゃ逆にクイズ番組に出題されてほとんどが不正解てな言葉を使っているし。

きっと、本当は女郎や妾ではなく自分のような実社会で愛だ恋だに関係ない負け犬的男性が、すねて読んだものだったりして。

それでも、実際に刃傷沙汰に発展するよりはマシってことか。

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