110番街交差点 – ACROSS 110TH STREET(1972年)

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スタッフ

監督:バリー・シャー
製作:フォァド・セイド、ラルフ・サープ
脚本:ルーサー・ディヴィス
撮影:ジャック・プリーストリー
音楽:J・J・ジョンソン

キャスト

マテッリ / アンソニー・クィン
ポープ警部 / ヤフェット・コットー
ニック / アンソニー・フランシオサ
ジム / ポール・ベンジャミン
ヘンリー / アントニオ・ファーガス
ジョー / エドワード・バーナード
グロリア / ノーマ・ドナルドソン
ドク / リチャード・ワード
シェビー / ギルバート・ルイス

日本公開: 1973年
製作国: アメリカ フィルム・カウンターズ作品
配給: ユナイト


あらすじとコメント

引き続きアンソニー・クィンがイタリア系を演じた作品にしてみた。大都会ニュー・ヨークでの民族間の軋轢を描いた刑事ドラマ。

アメリカ、ニュー・ヨーク。セントラル・パークの北側にある110番街。俗にいう『ハーレム』との境界線だ。

その一角にある古ぼけたビルの一室にイタリア系マフィアの私設銀行があった。そこに警官を殺害し、制服を盗んで変装した黒人のチンピラ三人組が強盗に入る。銃撃戦となり30万ドルを奪うが、マフィアの他、市民も巻き添えになってしまう。ただちにマフィアのボスは娘婿のニック(アンソニー・フランシオサ)に犯人を探しだすことと、ハーレムでの自分たちの縄張りを守りきれ、と厳命した。

一方、警察上層部は警官が殺されたことと、黒人たちが幅を利かす場所で、イタリア系と人種間の暴動が起きるのではという懸念から、事件の担当に黒人のエリート警部ポープ(ヤフェット・コットー)を任命。

しかし、ハーレム担当のイタリア系ヴェテラン刑事マテッリ(アンソニー・クィン)は、ことごとくポープと対立していく・・・

マフィアと警察双方で起きる人種間の問題を平行して描く犯罪ドラマ。

当時、犯罪の温床といわれていたハーレム。黒人たちが我が物顔で仕切る場所だが、麻薬などのブラック・マネーを稼げる場所としてイタリア系マフィアも勢力を拡大していた。

ここにアメリカが移民国家であり、自分たちのコミュニティー存続と勢力拡大のためには殺人も辞さないという病巣が見える。

だが、実際に強盗するのは特定のグループに所属しない黒人たち。麻薬中毒、大金を持ってハーレムから脱出したいと願っている男たちだ。その連中を追えと厳命されるイタリア系マフィアの男は頭脳よりも腕力に頼り、大して力もないのにボスの娘をたらし込んで出世した男。それぞれが尋常ではないが、自分なりの正論を持っていると信じている男たち。

一方の警察も複雑だ。イタリア系のくせに長く担当しているから黒人側についているヴェテラン刑事。また、正義を正論として遂行しようとする黒人エリート。厄介なことに若い部外者のくせに役職が上である。

ここいらは「夜の大捜査線」(1967)の影響といえよう。それから派生させた流れとして、本作は舞台が差別の中心であった南部から、アメリカの縮図であるニュー・ヨークという大都会で起きる事件として描いている。

高層ビル群が立ち並び、セントラル・パークという緑豊かな公園があるが、それらが逆に、殺伐とした風景として描かれる。それは黒人と白人のグループ的意識から、結局は、誰もが個人的価値観と身勝手な正論で生きていこうとする展開に妙にマッチしていく。

大勢の人間がいるが、誰もが孤独という姿が浮かび上がる。だが、本人たちはそれに気付いていない。そこにアメリカの真の姿が見え隠れする。

残念ながら、メリハリを心がけたバリー・シャーの演出がもたつくので、一定したリズム感に欠けるのが難点。有名なジャズ・トロンボーン奏者のJ・J・ジョンソンによる音楽のノリが良いため、余計にそう感じた。ただ、面白いエピソードや派手なシーンもあるので飽きはしないが。

また、本作は当時流行だったハーレムを舞台にした「ロールスロイスに銀の銃」(1970)や「黒いジャガー」(1971)「スーパーフライ」(1972)といったブラック・ムーヴィーの一作として位置付けられよう。

当時としては、斬新だったことが時代の流れで、どう印象が変わるかを知るには解りやすい作品。

余談雑談 2008年1月26日
今更ながら、テレビやネットの影響力に驚いている。行きつけの店や、近所にある飲食店が突然、大繁盛。 ところが、そういう人種はすぐわかる。なめられないようにと、ごく自然に、を演じながら『名物』と紹介されているメニューのみを頼む人や、気を使って新