友よ、静かに瞑れ ー 昭和60年(1985)

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スタッフ
監督:崔洋一
製作:角川春樹
脚本:丸山昇一
撮影:浜田毅
音楽:梅林茂

キャスト
新藤剛 / 藤竜也
赤井志摩 / 倍賞美津子
高畠治郎 / 原田芳雄
下山大志 / 佐藤慶
徳田乙松 / 室田日出男
亀井順一 / 草薙幸二郎
石森健 / 常田富士男
小坂時枝 / 宮下順子
坂口竜太 / 六浦誠
坂口隆一 / 林隆三

製作国: 日本 角川春樹事務所
配給: 東映セントラルフィルム


あらすじとコメント

日本製ハード・ボイルド。どうしても外国製へのリスペクトと卑屈さが垣間見られる作品が圧倒的。それでも本作は、それなりに見られる。舞台が沖縄というのも妙な異国感が漂うからだろうか。

沖縄、多満里観光客などまったく来なさそうな米軍基地の影響が色濃く淀む場所。そんな田舎町にレンタカーに乗って40歳前後の男がやって来た。新藤(藤竜也)である。

彼は異国情緒漂うと言えば聞こえは良いが、寂れて米兵相手のホステスと用心棒らしき若者しかいない古ぼけたホテルに入っていく。いきなり敵対心をむき出しに襲い掛かろうとする用心棒。それを素早くかわすとオーナーの坂口の知り合いだと告げる。

どうやらホテルのオーナーは建設会社の社長を切り付け、目下、留置所に収監中。その建設会社の連中が立ち退きを要求しており、彼をその関係者だと思ったのだ。ホテルを仕切るのはオーナーの愛人赤井志摩(倍賞美津子)で、彼の一人息子の面倒も見ているようだ。

何も語らない新藤は建設会社へ行き、営業部長の高畠(原田芳雄)の動向を尋いたり、警察へも出向き刑事の徳田(室田日出男)に坂口への面会を申し入れたりするが・・・

不意に閉鎖的な場所にやって来た男の目的を描くハード・ボイルド作。

原作は北方謙三によるものだが、舞台は北日本。それを南国沖縄に置換して映画化された。

監督は本作3年後に返還前の沖縄のミュージシャンたちの苦悩と挫折を描いた佳作「Aサインデイズ」(1989)、Vシネマと呼ばれたTV鑑賞専門のビデオ映画「襲撃 BURNING DOG」(1991)と立て続けに沖縄を舞台にした作品を発表する崔洋一。

本作も北国から沖縄に設定移行したことが功を奏していると感じた。南国ならではエキゾチックさを観光目的ではない基地の町に設定する。それでいて一切アメリカ人を登場させない。

しかも、どの店も完全クローズで廃村のような佇まい。そして抜ける様な青空や透き通る「美ら海」もわざと綺麗に撮らない。街中は寂れた店構えや看板に英語が矢鱈と書いてあり、まだ完全占領下であるかのような錯覚を想起させる。

完全にアメリカ映画に脈々と続く流れだ。広大な場所の中の忘れ去られた地域に蠢く排他的負け犬たちの滞留と流れ者による攪拌。

しかし、それによって浄化はされないというハード・ボイルドの雰囲気を醸すことには成功していると感じる。

更にアメリカ映画であれば広大さは「砂漠」であるが、本作は「沖縄の海」である。海水浴のシーンも出ては来るが、そこに解放感はなく寂寥感が淀む。

どの道、海と米軍基地の間では逃げ場はないのだ。

内容は来訪者の真の目的という一応のミステリーではあるが、それよりも雰囲気と虚無感、ときどきキザを楽しむ作品だろう。

崔監督の遊び心も感じられるが、あくまでもハード・ボイルド。ただし簡単に拳銃を撃つような荒唐無稽さはなく、男なり女なり、子供なり人間の生き様に軸足を置いた作品。

派手さより、静かさが勝る作品で嫌いではない。

余談雑談 2022年7月7日
今回の都々逸。「もしやこのまま焦がれて死ねば こわくないよに化けてでる」夏でもあるので、少し怖いのにしてみた。とはいっても、別な怖さでしょうが。正妻でない日陰の身の方が詠んだもので逢いたいときに逢えないつらさが 膨れ上がったってことでしょう...