深呼吸の必要   平成16年(2004年)

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スタッフ
監督:篠原哲雄
製作:坂上直行、久松猛朗、川城和実、安田匡裕
脚本:長谷川康夫
撮影:柴主高秀
音楽:小林武史

キャスト
立花ひなみ / 香里奈
池永修一 / 谷原章介
西村大輔 / 成宮寛貴
土居加奈子 / 長澤まさみ
川野悦子 / 金子さやか
辻本美鈴 / 久遠さやか
田所豊 / 大森南朋
平良誠 / 北村三郎
平良ツル / 吉田妙子
宮里一雄 / 上地雄輔

製作国: 日本 ウィルコ作品
配給: 日本ヘラルド、松竹


あらすじとコメント

ある意味での季節労働者。昔は農閑期である厳冬の東北から都会などにやってきた。この作品は沖縄に集う訳アリ若者たちを描く青春群像劇。

沖縄、宮古島

2月末から3月一杯の35日の契約でサトウキビを手作業で収穫する「きび刈り隊」と呼ばれる仕事に応募してきた5人の若者。OLだった立花ひなみ(香里奈)、池永(谷原章介)、西村(成宮寛貴)、高校生の加奈子(長澤まさみ)、悦子(金子さやか)。港に着いた彼女らを軽トラでピックアップに来たのが毎年きび刈り隊に来ている田所(大森南朋)。

当然、全員が初対面であり、中にはリゾート気分で臨む者もいたが、殆どが訳アリ風情。

あまりにも何もない場所で収穫担当地の広さに絶句する一同。それでも、すぐに収穫作業が始まるが・・・

悩める若者たちの絵に描いたような成長譚。

一ヶ月強の短期バイトに応募してきた5人。それぞれが悩みなり、問題を抱えていそうだ。

受け入れ側は老夫婦のみが住む一軒家。カーテンの仕切りだけでプライバシーなど存在しない家に住み込みで働く、一種の合同合宿所。

毎年、日本中からバイトを募集して人力で収穫。当然、甘く見ている人間もいるし、誰とも打ち解けず一言も言葉を発しない者もいる。

やる気なく始まり、途中棄権しようと考えるのもでてきて収穫予定日に終了しそうになくなる。そうなると老夫婦の収入は激減する。だが、老人の自分らだけでは何も出来ないので、毎年来る人たちに賭けるしかない。どうやら年によって当たりはずれがありそうだ。

実にのんびりとして「なんくるないさ」とすべてを受け入れる沖縄人気質。だから一期一会の若者らに素直に感謝を述べるし、褒めもする。結果、それも皆に成長を促す一因となる。

そんな中、途中から参加する出戻り的女性や台風直撃で怪我人もでて5人それぞれが成長していく。

実に分かりやすい設定であり、静かで大らかな沖縄の気候風土を根底に漂わせるが、それでいて晴天ではない冬の曇天や膨大なサトウキビ畑という自然の脅威なり大きさを映しだしていく。

出演陣では先輩風を吹かす季節毎に日本中の収穫地を巡り重宝されていると嘯く大森南朋が印象に残る。

真面目な印象の谷原章介や自閉症気味の女子高生役の長澤まさみも無理をしない演技で等身大。

しかし、主演でモデル出身の香里奈が完全なるミスキャスト。本作は彼女を大々的に売り出す『大人の事情』が優先されたらしく、監督らもかなり手こずったと思われる。

体当たり演技ではあるのだが、何をやっても「上っ面」で滑っている。確かに他の出演者も若者が多く「どんぐりの背比べ」ではあるのでバランスは取れているといえば取れているのだが。

各々が徐々にこの島に来た理由なりバックボーンが明かされて行くが、どのエピソードも強烈ではなく等身大。だからこそ劇的な体験でなくても、真っ当な価値観に戻っていくというか、あくまで正調なる成長物語として帰結していく。

大自然の前では個人的悩みやワガママなど太刀打ちできないから、否が応でも成長していくしかない。

それを静かな画面で繋いでいき、大団円を迎える。バランスの取れた作劇で、このような体験も良いかと思う若者が増えれば面白いと感じた。でも労働内容と収入に関しては、恐らくは奉仕の精神でないと勤まらないと思うが。

余談雑談 2022年10月10日
今回の都々逸。「今度逢う日を背中に指で 書いて背広を着せてやる」当時としては『現代都々逸』と呼ばれた類。それがどうだ、今や「背広」などと言わぬし、後ろから着せてやる行為だって、まだ誰かはやっているのかですら定かでない。それに指で背中に書くな...