怒涛一万浬   昭和41年(1966年)

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スタッフ
監督:福田純
製作:田中友幸、武中孝一
脚本:小川英、関沢新一、福田純
撮影:斎藤孝雄
音楽:佐藤勝

キャスト
村上平八郎 / 三船敏郎
矢野一作 / 三橋達也
津田 / 田村亮
青木 / 佐藤充
戸川洋子 / 浜美枝
岩田 / 中丸忠雄
河辺 / 堺左千夫
安原 / 人見明
加賀 / 沢村いき雄
野崎 / 平田昭彦

製作国: 日本 三船プロ
配給: 東宝


あらすじとコメント

海外に一大ロケーションを敢行した日本映画。バックに大スポンサーが付き実船を借りきり、且つ、有名俳優が持つプロダクションが元気だったころの作品で遠洋漁業の冒険苦労話を描いた作品。

西アフリカ カナリア諸島

日本を出港後1年強立つマグロ漁船「第八東丸」がグラン・カナリア島のラス・パルマスを基地に魚群を追っていた。

しかし漁獲量が芳しくなく本社調査部から漁労長として村上(三船敏郎)が派遣されてきた。船長兼漁労長の矢野(三橋達也)は面白くない。当然、乗組員の青木(佐藤充)や船医見習いとして乗船中の医学生津田(田村亮)らも同様であった。

先ずはお手並み拝見と様子見をする船員たち。しかし村上は出航を遅らせた上に、四日経っても延縄を許可しなかった。焦りだす船員たち。村上はデータ計測が最重要と言い、ムダ玉を撃つよりも一発必中を狙うと。

そしてやっと延縄の許可を出すが、想定よりも漁獲量が少なく・・・

マグロ漁船の乗組員たちの苦労と葛藤を描くスペクタクル巨編。

粗っぽい直情型乗組員ばかりの船に事務畑から派遣されてくる男。ありがちな設定だ。当然軋轢が生まれ、それが作用なり葛藤をどのように派生させていくのか。

船員には頭でっかちで漁は勉強範囲外と知らぬ振りをする医学生も主人公同様異端児だ。漁獲量で他船と競争もあるし、ストレート・タイプと熟考タイプが常に対立していくが医学生も問題ばかり起こすタイプ。

他にも、日本女性初の現地勤務の看護師はギャラの良さに惹かれて赴任したと言い、中には大怪我から、まるで人生からも下船させられる態の船員がいたりと設定は面白い。

それにマグロ漁船と言えば「粗っぽい海の男」の代表的イメージだし、当然他国の漁船だって同様のタイプが多い。となれば西部劇同様、乱闘だって予想できる。兎に角、対立軸が多く飽きさせない展開は斜陽傾向とはいえ、まだまだ元気だった時期の映画界という印象。

しかも本作は世界的大スター三船敏郎が自分のプロダクションを設立し、その第一作としてチョイスした作品なので力の入れ方も半端ない。

何せ西アフリカのカナリヤ諸島に長期ロケを敢行し、珍しい現地の風景や風習を紹介してくれるだけでも楽しいし、長期ロケならでは海の様々な表情がカメラに収められ見どころ満載。

しかも海上では薄汚い服ながら、陸上では幹部船員は全員がスーツ姿。当時、如何に日本人が勤勉だったかと世界が驚いたに違いないと推察できる。

確かに、地球の反対側のアフリカ大陸近くで絶対的情報量が少なく先方に失礼があってはならないと考えたであろうし、現地では日本企業が十数社支社を置いていた場所にしろ、砂漠もある地域で全員がスーツにネクタイ姿で、しかも涼し気という演技は驚嘆してしまった。間違いなく日本人は奇妙な民族と映っただろう。

それはさておき、甲板部セットと実船の繋ぎも上手く、荒れ狂う海やらマグロとのまさに格闘と呼べる力付くでの漁など迫力もありドラマ部分もそれなりに調和がとれている。

昔は都市伝説として多額の負債者は遠洋マグロ漁船に乗せられ過酷な労働を強いられた挙句、中には生命保険を掛けられいつしか海に投げられて行方不明という怖い話を聞いていた。

まさかなと思うが、半ば真実味も感じるし、否や海の男たちは世界共通で義理人情に厚いとも謳っている。

手慣れた福田純監督の手腕、矢鱈と威勢の良い佐藤勝の音楽。そして社長として自分のプロダクションを支え発展させるという三船敏郎の熱情が相まって、中々の冒険譚に仕上がている。

余談雑談+ 2024年8月8日
今回の都々逸。「一度濡れたが苦労の始め 今じゃ身を切る雨つづき」成程、今とは全く違いますな。いやね、内容というよりも雨の降り方が、です。濡れる程度の雨はいつ降るのかと思いますし。完全に亜熱帯気候になった日本。夏と冬、たまに気まぐれで少しだけ...