スタッフ
監督:ジャン・ベッケル
原作:ジョゼ・ジョヴァンニ
脚本:ジョゼ・ジョヴァンニ、ジャン・ベッケル
撮影:ギスラン・クロケ
音楽:クロード・ノルマン
キャスト
デ・ロッカ / ジャン・ポール・ベルモンド
ジュヌヴィエーヴ / クリスティーネ・カウフマン
モード / ベアトリス・アルタリバ
アデ / ピエール・ヴァネック
フィオール / アンリ・ヴィルロジュー
シャルロット / マリオ・ダヴィド
ヴィラノヴァ / ニコ
イタリアの友人 / クロード・イェーガー
子供 / フレデリック・ランブレ
日本公開: 1962年
製作国: フランス他 オムニア作品
配給: 映配
あらすじとコメント
ジャン・ポール・ベルモンドの若かりしきころのフィルム・ノワール。厚い友情に命を賭す裏社会の男を描くクールな作品。
フランス、マルセイユひっそりと田舎に暮らすデ・ロッカ(ジャン・ポール・ベルモンド)の元に、親友のアデ(ピエール・ヴァネック)が逮捕収監されたとの情報が入り、詳細を得るべく、港町マルセイユにやって来た。
どうやら、現地の顔役ヴィラノヴァが仕組んだ罠だと知った彼は、すぐにボスの情婦モード(ベアトリス・アルタリバ)を篭絡して、ヴィラノヴァの情報を得た。
そして、彼の経営するカジノに乗り込むデ・ロッカ。良い根性をしてると、鼻で笑うヴィラノヴァは、情婦から手を引けと脅した。しかし、デ・ロッカは飄々と受け流した。業を煮やしたヴィラノヴァが銃を抜いた瞬間、彼の銃弾がビラノヴァの眉間を撃ち抜いた。あまりの手際に何もできない手下たち。
デ・ロッカは、恐怖に怯える手下らと一緒に死体を片付けると、何食わぬ顔でカジノの経営者に成りすました。
そして、親友アデの判決がでるのを待つことにしたが・・・
友情のために命をも賭ける男の執念を描くノワール作品。
冤罪で収監された親友の情報を得るべく、平然と殺人まで犯す主人公。しかも裏社会では、名の通った男でもある。腹の据わったタイプだが、どこか飄々としていて色男。女が惚れるのも頷ける。
殺した顔役の手下を服従させ、情婦には別な店を任せて、親友の判決を待つが、結果、弁護士のやる気のなさで有罪となってしまう。
そこから取る主人公の行動に驚く。情婦にやらせていた飲み屋に「みかじめ料」を払えとやって来たアメリカ人の不良グループとわざとトラブルを起こし、自ら入獄して親友の動向を探りに行くのだ。
ここまですると、何やら同性愛的匂いも立つのだが、そこは親友の妹との思慕も絡み、何とか避けている設定。
それでも、何故、そこまで親友に肩入れするのかは説明されないが、それこそ、『あうん』であり、男は黙って行動あるのみというスタンスで描かれていく。
ただ、奇妙なのは、主人公が4名以上死傷させているのに、死刑なり、終身刑にならないということ。
途中、恩赦考慮のために危険な地雷除去のシークェンスが登場してきて、犠牲者も続発するからこそ特赦放免になるのだろうか。
それにしても主人公と親友は犯罪内容から考えても同じような収監期間ではないはず。
そういった点がストーリィの脆弱性を露呈させている。
ただ、本作が興味深いのは、都会よりも自然溢れる場所を意識した設定と展開という点。
冒頭の荒涼とした高原から、マルセイユという港町が登場する前半。実はこの港町でのシークエンスが一番好きなのだが。
そして、刑務所の中という閉鎖された空間にウエイトが置かれ、終盤では、自然に囲まれた田舎の一軒家という展開である。
特に、刑務所でのシーンが多いのは、脚本に、実際に入獄経験があるジョゼ・ジョヴァンニが絡んでいるからだろう。
主人公の心情は荒涼とした自然の中でこそ浮かぶという趣旨だろうか。
まあ、言葉で語らずとも、行動で理解しろという男の背中を見せる作品ではある。
あくまでも、こちらが主人公の行動に惚れられるかどうかが、本作の印象の分かれ目だろうが。


