僕らはみんな生きている    平成4年(1992年)

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スタッフ

監督:滝田洋二郎
製作:小林寿夫
脚本:一色伸幸
撮影:浜田毅
音楽:清水靖晃

キャスト

高橋啓一 / 真田広之
中井戸浩 / 山崎努
富田建造 / 岸部一徳
升本達也 / 嶋田久作
井関修次郎 / ベンガル
雀崎 / 蛍雪次郎
昭子 / 田根楽子
美由紀 / 早見優
セーナ / コーヴィト・ワッタナークン
カッツ大佐 / ツゥーン・ヒルンヤサップ

製作国: 日本 松竹作品
配給: 松竹


あらすじとコメント

入院生活で、しばらく<番外編>をだしてなかったので、連続発行。で、「おくりびと」繋がりで、今回は監督の滝田洋二郎作品。

「エコノミック・アニマル」と呼ばれた日本人たちを描くコメディ・アクション。

東南アジアのタルキスタン共和国。数年に一度クーデターが起き、その都度、政権が変わる政情不安な国で、現在は軍事政権。

そこへ、橋を架けるプロジェクトのプレゼンのため、三星建設の若きエリート高橋(真田広之)が派遣されてきた。迎えたのは、たったひとりの駐在員である中井戸(山崎努)。しかし、到着早々、高橋は思っていたより貧乏な現状に驚く。

翌日、実権を握る軍関係者の前で揚々とプレゼンをする高橋。そこには、ライバルであるIBC国際建設の富田(岸部一徳)と升本(嶋田久作)もいた。しかも富田らは、かなりの賄賂を渡して優位なようだった。

そのことを危惧した中井戸は、実力者の誕生パーティーで起死回生のチャンスを狙うが、突然会場で爆発が起きる。

何と、クーデターが起きたのだ・・・

シュールな視点で商社マンを描く異色コメディ。

世界中で信用がある『メイド・イン・ジャパン』の製品。戦後、ものがない時代に、欧米の製品を徹底的に勉強し、更にはオリジナル以上に故障もせず、価格も半額という製品として世界に送った。

しかも、自己顕示は恥と教えられてきた歴史もあり、黙々と完璧な商品を作り続けた。本来、欧米では、商品開発にどれほどの労力をかけ、更に努力した賜物として完成したから高額であるといった売り方が主流だった。

だから、日本式ビジネスは先進国からは理解不能だったのだ。しかし、その結果、世界第二位の経済大国になった。

そういった、メーカーとは別に、どんどん頭角を現していったのが、売れそうなものは何でも商いに繋げるため、後進国を含む世界各国に支店を作っていった『商社』である。本作でも、小さな商社の駐在員として、海老の売買のすべてをたった一人で担当する男がでてくる。

ただ、主役たちは、ODAの一環である渡橋工事の受注に賭ける男たちだ。しかし、主人公を待ち受ける『支店長』も、たったひとりの駐在員。

通常、エリート・コースに乗る人間は先進国へと派遣される。本作のような政情不安な後進国に駐在しているのは『島流し』なのだ。一方のライバルである相手も、元建設会社の御曹司だが、会社が吸収され、飛ばされた口である。

つまり、主人公以外は、いつか日本への復帰を願う人間たち。常に本社から忘れ去れるのではないかという恐怖心と猜疑心に凝り固まっている。しかも、政情が不安定で、かつ非衛生的な場所ゆえ、家族を日本に残しての、全員が単身赴任。そこへ、ほんの一週間だけ、半分遊び気分で来る若い男。水と油である。

そんな彼らが、突然勃発したクーデター騒ぎに巻き込まれ、救援機が来るであろう空港まで移動する羽目になる。しかし、厭世的なヴェテラン駐在員といえ、銃を持って戦闘に参加したことなどない。結局は、ただ、オロオロするばかりというコメディが展開されていく。

邦画としては、戦車まで登場する、かなり派手な戦闘シーンもあり、迫力もそれなりにある。だが、根底に流れるのは『彷徨える日本人』という、人生からはじかれた男たちの哀愁。

終盤に浪花節的展開を見せるのが、好き嫌いの分かれるところだろうが、作品として言いたかったのは、彼らも立派に日本を代表する『ビジネスマン』であり、『日本男子』ということだろう。

しかも、戦争を棄てた日本人が武器として用いるのは、当然、『銃器』ではない。そこが本作のミソかもしれない。

低予算専門だった日活ロマン・ポルノ出身の滝田監督が、制作費が安いアジア・ロケとはいえ、大掛かりな戦闘シーンなど、いささか持て余している感があるのは否めないし、端折っている部分のバランス、また、コメディ部分が入るタイミングが唐突だったりと、低予算の中でこそ光る才気が、今のようにバランス的に緩和されていないとも感じる。

それでも、個人的には嫌いな作品ではないのだが。

余談雑談 2009年5月5日
今日の都々逸。「十日も逢わねば死ぬかもしれぬ こんなにやせてもまだ三日」中々、逢えない恋人のことを謳った作品。あまりにも好き過ぎて、食事も喉を通らないのだろう。ここまで好かれるのは、果たして、嬉しいのか、怖いのか。だが、今回これを選んだのは...