大悪党/ジンギス・マギー – DIRTY DINGUS MAGEE(1970年)

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スタッフ
監督:バート・ケネディ
製作:バート・ケネディ
脚本:トム&フランク・ウォルドマン、ジョセフ・ヘラー
撮影:ハリー・ストラドリング・jr
音楽:ビリー・ストレンジ

キャスト
マギー / フランク・シナトラ
バードシル / ジョージ・ケネディ
ビリー / アン・ジャクソン
ハーディン / ジャック・イーラム
フロスト / ロイス・ネトルトン
アンナ / ミシェル・ケリー
ジョージ将軍 / ジョン・デナー
スチュワート / ハリー・ケリー・Jr
グリーン / ヘンリー・ジョーンズ

日本公開: 1971年
製作国: アメリカ B・ケネディ・プロ作品
配給: MGM

今回もシナトラ作品。プライベートの彼を彷彿とさせるキャラクターだが、彼よりも脇役が光るコメディ西部劇。

アメリカ、ニューメキシコ

職探しでサン・フランシスコへ向かっているバードシル(ジョージ・ケネディ)が駅馬車の中継所で降りてきた。ところが、すぐにマズいぞいう顔で踵を返す。彼に気付いたマギー(フランク・シナトラ)が近付いてきた。昔馴染みらしいが、過去にいわく有りげだ。職探しの途中で金などないと財布を見せるバードシルに不敵な笑みを浮かべ、すぐに帽子に隠していた400ドルを見つけだしお前のやることは簡単すぎると金を持って逃げだした。

怒り心頭の彼はマギーの追跡を始める。一方のマギーは逃走中に先住民の娘アナ(ミシェル・ケリー)に見初められ、草むらでことに及ぼうとすると、バードシルが追いついてきた。盗まれた金の一部を取り戻すがマギーの口車に乗り、またしても金を取られて逃げられた。

今度こそと思い、追尾を続けるとやがて小さな町に辿り着いた。保安官の協力を得ようとするが、在職者なしの場所であった。ならば町長をだせと言うと住人が娼館を指さして・・・

口八丁の小悪党が巻き起こす騒動を描くコメディ西部劇。

銃の扱いは全くダメだが、女には滅茶苦茶モテる小悪党。方や大柄ながらお人好しというか、どこかヌケた男。

追跡側が奪われた金を取り返そうと辿り着いた町で保安官になるが、町長は何と娼館の女主人。以後、当然彼の性格が災いし、一切頭が上がらなくなる筋運び。

やっと捕まえては丸め込まれたり、女に邪魔されたりで逃げられるを繰り返す進行。一方で町外れの砦に駐留中の騎兵隊が先住民討伐のため町から撤収となるから娼館の女町長は存亡の危機とばかりに策を講じようとする。

王道の勧善懲悪的西部劇がなくなり、斜陽ジャンルであったが、本作のバート・ケネディ監督は、ならばとコメディ西部劇にシフトして『クセ玉』コメディ西部劇を連発した。

本作もその一本。ジェームス・ガーナーのトボケた演技が見事な「夕陽に立つ保安官」(1968)、「地平線から来た男」(1971)、本作にも出演しているジョージ・ケネディの「悪党谷の二人」(1969)と、本作がケネディ監督のコメディ西部劇4部作と呼べよう。

個人的にはどれも好きだが、それは「悪党谷の二人」以外の3本に出演し、全作で完全に主役を喰う演技を見せるジャック・イーラムの存在。

数多く西部劇に端役として出演し続けた、ギョロ目で小汚い小悪党で、すぐに殺される作品ばかりだった。

それでも西部劇が斜陽になった後、ケネディ監督によって重用され、サム・ペキンパーの「ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯」(1973)でも印象的な役で起用された俳優。

50年代以降のアメリカ映画を観てきた観客には、間違いなく、一度や二度は見たことがあるだろうし、一度見たら忘れられない顔。

本作でも他の主演者たちよりも印象に残る役どころで、いかにも彼らしい演技を披露している。

ケネディ監督コメディ西部劇の中では、シナトラの存在感ばかりが強調されるのでバランスに欠けるが、「でくのぼう」的演技のジョージ・ケネディとジャック・イーラムの存在感によって見て行ける作品。